この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
狼に囚われた姫君の閨房録
第37章 鶴ヶ城の悲劇(前編)
「殿、すみれ姫をご案内しました」
容保様の寝所である。太刀持ちの小姓が呼びかけ、襖をすっと開けた。
容保様は灯りも付けずに、窓から夜空を眺めていた。
「ご苦労。下がって休め」
小姓が一礼して下がると、容保さまは私を手招いた。
「こちらに来い。月はないが、星空が美しい」
私が膝をそろえて座ると、容保様は私の肩を抱いた。
「土方のことは聞いたな?」
「……はい」
宇都宮で重傷を負った歳三は、温泉地で静養しながら蝦夷(北海道)に向かったという。
「あのバカ、会津で戦うと言いやがった。『お荷物は引っ込んでろ』と言ってやったら大人しく湯治に行ったぜ」
「主計くんと利三郎くんも一緒にですか?」
「目付け役に同行させた」
「ありがとう存じます」
歳三のことだ。監視役がいなかったら、どんな無茶もしかねない。
「斎藤と……鈴木三樹三郎とかいったか?二人はどうしている?」
「ご重役方と軍議中でございます。鶴ヶ城だけは落とすわけにはいかぬと」
「鈴木三樹三郎もか?」
「ええ」
「あの者は新選組が粛清した伊東の弟なのだろう?いつから、味方になった?」
「実を言いますと……」
私は歳三の思惑を話した。
歳三が伊東甲子太郎を入隊させた理由は弟の三樹三郎にあること。三樹三郎はなんらかの鍵を握る人物だろうということ。
「なるほど、鈴木三樹三郎を死なせられない理由があったのか。土方にしては手ぬるいと思っていたが」
容保様は私の顎を掴んで仰向けた。容保様の唇が私のそれに吸い付いた。
「それにしても、鍵とはどういうことだ?あの者は、何をなすというのだ?」
私は首を振るしかなかった。
/277ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ