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狼に囚われた姫君の閨房録
第38章 鶴ヶ城の悲劇(中)
数日後、鶴ヶ城は大砲を撃ち込まれた。会津軍に進軍を阻まれ続けた新政府軍が業をにやしたのだ。
天守が激しく揺れ、私は壁に叩きつけられた。外を見ると、あちこちから爆炎が上がっていた。
煙が立ち込め、ろくに周りも見えない。咳き込みながら、私は深呼吸した。
(好機だ!やっと、力が使える)
私は樽から水を両手ですくった。熱量(エネルギー)を乗せた息を吹き込み、水を膨張させた。
膨らんだ水がしゃぼん玉のような塊にいくつも分裂する。
「お行き……!」
無数のしゃぼん玉が城内を飛び回り、次々とはぜて火を消していく。
洋銃の隊は敷地内に入り込んでいた。狭間から八重の隊が銃で応戦していた。
窓から飛び出したしゃぼん玉は敵の西洋銃にまとわりつき、暴発をさせた。
「八重どの、畳み掛けるのじゃ!」
狭間から矢を放ちながら、私は下知した。矢は馬に命中し、新政府軍の足並みが乱れていく。
「言われるまでもござりませぬ」
八重は銃の引き金を引き続ける。
銃弾は的確に敵を貫く。敵も撃ち返すが、上からの攻撃に勝てるはずもない。
「撤退!一時、撤退する!!」
敵の大将の合図で、新政府軍は攻撃をやめて引き上げていく。
「やった〜!帰っていくわ!!」
「やったのよ。私たち、敵を追い払ったのよ!」
手を取って喜び合う女たち。みな、顔が煤だらけで、着物もほつれていた。
「はしたない。静まりなされ!」
八重の厳しい叱責が飛ぶ。
「勝ったわけではありませぬ。油断はするまいぞ!」
「まあまあ、八重どの」
私は八重の肩に手を置いた。肩に力が入りすぎているのがわかる。
「気を張りすぎていては、もちませぬぞ。喜ぶときは喜ぶものじゃ。皆のもの、ようやってくれました!」
私がいうと、女たちは改めて安堵した表情になった。
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