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狼に囚われた姫君の閨房録
第40章 五稜郭での性活
明治二年の四月。
体が癒えた私は蝦夷地に渡った。月明かりを頼りに、五稜郭に向かっている。(思っていたより、寒い)
私は底冷えのする空気に震えた。外套を着てきて正解だった。
雪が残った草道を抜けると、目の前が開けた。
飛び込んできたのは、五稜郭の城砦。星の形だと聞いたが、長く続く壁にしか見えない。
「全体が見えるわけないか……」
つぶやいた時、武装した何人かが駆けてきて私を取り囲んだ。
「何者だ?こんなところで、何をしているっ」
一人が誰何し、別の一人が龕灯で私を照らした。
「女か!なぜ、このようなところに?」
(まずいことに……)
相手が敵か味方かわからない。迂闊に、名乗ることもできなかった。
「夜道に女が一人……怪し過ぎる。大鳥歩兵奉行に知らせてこい!」
誰かの言葉に、私はすかさず反応した。
「大鳥歩兵奉行とおっしゃいましたか?大鳥圭介どのでございますか!?」
「総督を知っているのか?」
龕灯を持っている兵士が、私の顔を照らした。大鳥が率いていた伝習隊の者たちらしい。
「ご挨拶が遅れました。近藤勇が遺子、すみれと申します。新選組の土方にお取り次ぎ願わしゅう」
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