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狼に囚われた姫君の閨房録
第40章 五稜郭での性活
「なんの用だ?」 
西洋風の書斎で、歳三は私を見て舌打ちした。一時期は嫌だったつっけんどんも懐かしい。
暖炉に火がくべてあり、室内は暖かかった。
「せっかくお嬢さんが来たのに、ほかに言いようが……」
案内してきた主計が眉を顰めると、私は微笑んだ。
「いいのよ、主計くん。兄上さまの性格は昔からです」
「さっさと用件を言え」
「報告します」
私は背筋を伸ばして一礼した。
「近藤勇、原田左之助、永倉新八、斎藤一、沖田総司。名誉の死を遂げました。容保様は斗南に国替えとなりました」
「みんな、死んだか……」
歳三が息を呑んで天井を見上げた。主計も俯いて嗚咽を堪えた。
「組長たちが全滅……その上、藩主を僻地に……死ねと言っているようなものじゃないか」
「容保さまはどんな労苦も厭わないと。鈴木三樹三郎もその覚悟で供をしていきました」
「三樹三郎!?生きてたんですか?」
主計が素っ頓狂な声を上げ、歳三が腕を組んだ。
「三樹三郎は俺たちの味方になったのか?」
「兄上さまの思惑通りに」
「俺じゃねえ。大老だ」
「やはり、あの者をわざと見逃していたのですね」
「まあな」
「本人はそれで借りができたと……ところで」
私は言葉を切った。ずっと、気にかかっていたことだ。
「利三郎くんはどちらに?」
主計が一瞬詰まったが、
「……利三郎は戦死しました。宮古湾の戦いで」
と声を震わせた。
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