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狼に囚われた姫君の閨房録
第43章 修羅の魂、覚醒
【第三者視点】
「……おい、永倉」
新八の頭の上でつっけんどんな声がした。うるせえな、体が痛くて動かせねえんだよ。
「生きてんだろ?起きろ」
新八が目を開けると、三樹三郎が見下ろしていた。
新八はガバッと起き上がった。全身を激痛が走り抜ける。お腹を抱えて蹲る。
「いってえ!くそ〜っ」
「タフな野郎だな。すみれの攻撃はお前の腹を貫いてた。よく痛いですんだぜ」
「すみれのやつ!本気で殺しにきやがって!!」
新八は握り拳を雪の積もった大地に叩きつけた。
「ほんとに修羅の魂が目覚めちまったのかっ」
「ぬるいことをほざいてるから、やられちまうんだよ」
「うるせえ!すみれはどこだ?おやっさんの首はっ」
「近藤の首はここだ」
三樹三郎は小脇に桐の箱を抱えていた。三樹三郎は話を続けた。
「俺が駆けつけた時、戦闘の真っ最中だった。さすがのすみれもお前相手に手一杯だったんだな。俺がいることにも気づかなかったから、こいつを奪えたのさ。で、すみれがお前の土手っ腹に一発くらわして逃げたわけだ」
「なんで追わなかった?」
「瞬間移動されたら、追えねえよ。それに……」
三樹三郎は近藤勇の首が入った桐箱を差し出した。
「これが俺がすべきこととやらなんだろ?」
「おやっさんを生き返らせてくれ。お前は生首が有れば人を生き返らせることができると聞いた」
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