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狼に囚われた姫君の閨房録
第13章 芹沢鴨暗殺
建物が唸りをあげて揺れ始めた。 
(始まった……最期の闘いが!)
雨脚は相変わらず島原を嬲り続けている。建物が揺れても、誰も気にする者はいまい。
私はそっと座敷に戻った。
襖を開けると、暗黒世界が広がっていた。
「結界……!」
時々、蒼白い光が交錯した。中では、死闘が演じられているはずだ。
私は両手を合わせ、念を暗闇に送った。頭の中に、結界の中に移動した自分を思い描いた。
(中へ……中へ……!)
私の体が半透明になった。自我がなくなるのを感じる。暗闇の中に、私は吸い込まれていく。
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