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狼に囚われた姫君の閨房録
第13章 芹沢鴨暗殺
外は相変わらず、雨脚が激しかった。豪雨というよりは、嵐に近い。
雷鳴がひっきりなしに轟いている。稲妻も時々、真っ暗な空を駆け抜けた。
(朝まで止みそうもないな……)
何気なく考えて、私はギクッとした。ちょっと待って。
ここは結界の中よね?外が見えるわけがない。
「すみれ、下がれ!」
いきなり、一が叫んだ。と同時に、私の前に立ちはだかる。
芹沢鴨の刀が私の頭上に迫っていた。一が芹沢鴨の太刀をはじき返す。
「気を抜くな。戦場だぞ!!」
「はいっ、申し訳ありません!」
それから、私は結界が切れていることを耳打ちした。 
「よく気がついたじゃない。なかなか、冷静だね」
脇で、総司が感心する。 
「芹沢がへばってきてるのも気付いてるよね?さすがに、これだけの手だれを相手にするのは限界らしい」
「我らで決着をつけるか」
一の声音が低くなった。 
「すみれ、お前の力が必要だ。俺と総司が同時に斬りかかる。俺たちの刀に、ありったけの念波を注いでくれ」
「幸い、芹沢は兄さんたちが引きつけてる。一気に片をつけるよ」
総司が言い、私は固くなって頷く。
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