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狼に囚われた姫君の閨房録
第15章 池田屋事件(前編)
深夜になって、風が強くなった。
八木邸の雨戸が軋み、壁が揺れた。裏の竹林が騒がしい。
歳三に夜食を運ぼうか?とお勝手に行こうとしたら、大広間で義兄たちが膝を突き合わせていた。
「お邪魔します」
私はそっと襖を開けた。一緒に風が入り込んで、行灯の炎を揺らした。
みな、緊張した面持ちであった。
「談合でございますか?」
「古高がやっと吐いたよ」
上座で、歳三が言う。さすがに疲労の色が見えた。
「強風の日に京のあちこちに放火。町民たちが逃げ惑う隙をついて、孝明帝をひっさらう企てだそうだ」
一瞬、何を言われたかわからなかった。
「……拐かす?帝を……ですか?」
なんて、恐ろしい。口にするだけでも、声が震える。
長州はなんということを考えるのだ?
「長州藩の連中、頭がまともじゃないとは思ってたけど、いよいよ本格的におかしくなったみたいだね」
総司が小馬鹿にする笑みを刻んだ。
「その頭のおかしいことをさせないために、我々がいます」
山南が渋い顔をする。
「古高俊太郎が捕らえられたことは、すでに長州の耳に入っているでしょう。おそらく、ことを急ぐはず」
「では、明日にも決行を……?」
私が急き込むと、
「それはねえだろうな」
左之助が腕を組んで壁にもたれる。
「あいつらはひとまず、古高奪還にかかるはずだ。どこまで白状したのか知りたいだろうし、余計なことをバラされる前に片付けなきゃならねえしな」
「山崎くんの話だと、長州藩の隠れ家は二つ。四国屋と池田屋だ」
重々しく、父が言った。ふだんの穏やかな顔つきはなりをひそめている。
「そのどちらかに、明晩集まるだろう。我々は、そこを急襲する!」
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