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狼に囚われた姫君の閨房録
第16章 池田屋事件(後編)
その頃、私は裏階段を使って二階にいた。外を見張ってろと言われたが、じっとしていられなかったのだ。
総司が二人を斬り捨てたところだった。足元には、三人が転がっている。
(さすが!でも……)
総司が肩で息をしている。何人を相手にしても、呼吸一つ乱さない人なのに……顔から血の気も失せていた。
「出てきなよ。そこにいるのは、わかってるんだから」
苦しそうにしながらも、総司が言う。
私のことかな?と思ったら、違った。 総司は無人の角部屋に向かって呼びかけている。お膳や行灯が転がり、不意をつく新選組の乱入に、かなり慌てていたことが見て取れた。
「こないなら、こっちから行くよ!」
総司が空間に向かって刀を振り下ろす。
その刀を空間から出てきた刀が受け止める。と一緒に、一人の浪士が何もないところから現れた。
「不意打ちのお返しをするつもりだったが、やるな」
「あれだけ殺気を漲らせてたら、姿を消してる意味がないよね」
総司は後ろに飛んで、浪士から距離を置いた。
「あんたが心話を妨害したのかい?」
「助っ人を呼ばれては面倒だからな。この人数だけでも、手に余る」
「こっちも助っ人が来たから勝ったなんて思われたくないから、始めようか」
総司は平青眼に構えた。
「新選組一番組組長、沖田総司」
「吉田松陰が門下・吉田稔麿」
吉田稔麿は上段に刀を構えた。
吉田稔麿。
実父の井伊直弼が安政の大獄で死罪にした吉田松陰の愛弟子。高杉晋作や久坂玄瑞と並んで、その才を松陰に認められた男だ。 
「参る!」
総司と稔麿が一緒に畳を蹴り、空中で刀を交えた。
一合!二合!!
ほんの瞬く間なのに、凄まじい速度での剣劇!
着地したとき、どちらも手傷を負っていた。腕の冴えは互角であった。
「ゴホッ!」
総司が口を手でおさえて、その場に蹲った。指の間から、多量の血が流れ落ちる。
「兄上さまっ!!」
私は思わず総司に駆け寄った。
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