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おとなりの、ひとづまと。
第2章 鬼畜な人妻と悶々とした高校生。
 おれがそう問い掛けると、さくらさんは、恥ずかしそうに、笑みを零した。
「あははは、うん、そうなの。あたしさ、ちょっと、そう言うヘキがあんのよね。あたし、子供の頃に、両親のセックスを観ながらオナニーとかしてたし」
「え、そうなの?子供の頃って、おれぐらいの頃?」
「うん、中学生から高校生の頃。そーゆーことしてるのを、お兄ちゃんにバレちゃってね、大学生になって家を出るまで、ほぼ毎日、お兄ちゃんに性的な奉仕をする事になっちゃったんだけど……」
「え?ちょっと、お兄ちゃんに性的な奉仕って?え?それって……」
「ああ、あたしのお兄ちゃんさ、お母さんとか叔母さんとかを妊娠させちゃうヤバいヤツだからさ、あんまり気にしなくていいよ」
 と、さくらさんは軽く言うが、おれはそれを聞いて、強い衝撃を受けていた。
 お母さんや叔母さんを妊娠させると聞かされてしまったら、両親のセックスを覗く事なんて、子供染みた遊びの様に思えてしまう。かくれんぼや鬼ごっこと同じ様な、そう言った。
「って言うか、それで、さくらさんは、お兄ちゃんの子供を妊娠せずに済んだの?」
 おれは、思わずそう問い掛けてしまっていた。しかし、それは途方もなくデリカシーの無い質問で、要するに、おれの辞書にもDelicacyと言う文字は載って無いと思い知った瞬間でもあった。
「まぁ、あの頃はさ、あたしが妊娠しちゃわない様に、お兄ちゃんの性欲と精液を、お母さんと叔母さんが一杯搾取してくれてたから。それでも、散々変態的な事はヤラレタけどねえ。学校のトイレとか、夜中の公園とか、浮浪者の前で公開セックスとか……」
 おれは言葉を返す事が出来なかった。
 さくらさんは、淡々と、想い出話の様に語っているけれど、尋常な内容では無い。

「――ねえ、翔太?」
「うん、はい……」
「今の話さ、殆ど、嘘、だからね?」
「え、ウソ?それって、どこから?」
「それは……秘密。ある所までは本当で、ある所からはあたしの妄想ってこと。うふふふ……。と、さて、じゃあ、そろそろ、覗きに行きますかぁ。酔いも醒めてきた事だしさぁ」
 そう言うとさくらさんは、ソファから立ち上がった。
 そして、すたすたと玄関へと歩いてゆく。おれはその後を、慌てて追いかけた。

 
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