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おとなりの、ひとづまと。
第3章 両親の秘め事からの。
 目指す先が両親の寝室である事は聞くまでも無い。
 恐らく、既におれの事など眼中に無い様な気がする。
 彼女は個人的に、おれの両親のセックスを覗きたくて仕方ないのだろう。
 覗いた時に両親がしてる事をやらせてくれると言ってはいたが、本当にその気があるかどうかなんて分かったものでは無い。
 だから、要するにおれはこのまま玄関で待機でもいいんじゃないか?と思い、四つん這いで先を行くさくらさんのことを見詰めていたのだ。静かにひっそりと、形の良い尻だなぁと思いつつ。
 しかし、おれが着いて来て無い事に、直ぐに気が付かれてしまった。
 さくらさんは、心臓が凍ってしまいそうな冷たい視線でおれの事を睨み付け、右手の中指を突き立ててくる。
 育ちの悪さが垣間見えた瞬間。このまま着いて行かなければ後で確実にシメられると思った。
 溜息が零れる。
 先に進むのも億劫だが、立ち止まる事も引き返す事も出来ない状況だった。
 仕方なく、さくらさんを真似て四つん這いとなった。
 左手はギプスがあるので、それを庇う様に、右肘を床に着けて低い姿勢で前進する。
 さくらさんはおれの追随を確認してから、再び前進を開始した。
 以前テレビで観た軍隊の訓練の様だと思った。
 これが例えば、修学旅行で男の友人らと女風呂を覗きに行くというシチュエーションであれば、もっとやる気満々で本気で隠密行動に取り組むのだろうけど、隣りに住む人妻と自分の両親のセックスを覗きに行くと言うミッションでは、中々気持ちが入らない。
 それを考えると、おれの性癖は比較的ノーマルなのだろう。確実に、目の前をゆく人妻よりかはノーマルの筈だ。

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