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おとなりの、ひとづまと。
第3章 両親の秘め事からの。
 玄関とキッチンを繋ぐ廊下を抜け、両親の寝室の前まで辿り着いたさくらさんは、寝室の扉に耳を押し当て中の様子を確認していた。
 そして、おれの事を手招きし、耳を当てて聞いてみろ、的なジェスチャーをする。
 そうするまでも無く、既に中から声は漏れていた。
 ムーディーな洋楽に紛れ、母の甘美な声が聞こえる。それは今まで聞いた事も無い様な、甘く、そしていやらしい声に聞こえた。
 扉に耳を当てると、尚更その甘美さが顕著に響く。
 そして、おれの視線の先には、さくらさんの姿が。
 まるで添い寝をしてる様な格好となっていた。
 母の甘い声を聞き、さくらさんの存在を限りなく身近に感じる事で、おれは完全に勃起してしまっている。
 このままさくらさんに抱き着きたいという衝動に駆られてしまいそうになったが、現状を鑑みて我慢する事にした。
 寝室の中の両親の行為を覗く事は出来なかったが、おれはそろそろ退散するべきなのでは?と思っていた。
 流石に、バレずに寝室の扉を開けるのは不可能だろう。
 中を見ずともセックスしてるのは確認出来たのだから、十分じゃない?と、そう思いつつさくらさんの顔を見詰める。
 すると、何を思ったのか、さくらさんは、おれと視線を重ねた後、にんまりと笑みを浮かべて、それから軽く、キスをしてくれた。
 あまりにも唐突だったのと、相手が酒臭さい人妻でもファーストキスなので嬉しいというドキドキ感で、気が動転してしまう。思わず声を発してしまいそうにもなってしまった。
 それからさくらさんは、右手を伸ばし、寝室の扉のノブに触れる。
 おれには扉から離れろ、とジェスチャーしていた。
 彼女の行為を止めたい心境もあったのだが、キスに心を奪われ過ぎて、制止する事も手伝う事も出来ない状況に陥ってしまっていた。
 そして、さくらさんはまた、スパイスキルを発揮して、静かに、一切音を立てずに寝室の扉を開けてしまった。
 拳ひとつ分程度だが、十分に中の様子は伺えるだろう。
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