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オレンジ色の世界で。
第5章 オレンジ色の世界で。
 ――それから。
 カレーを食べてから、それからの話。
 ぼくは、風呂に入った。母はぼくの後に風呂に入った。
 結局、多分我が家は床上浸水とかしないだろう、となったけれど、今晩、母はぼくの部屋で寝る、という事になったのだ。
 風呂を上がったぼくは、先に二階の自室へと行き、ベッドへと寝転んだ。 
 ごろごろと転がり、何だか今日は色々あったなぁと嘆息をつく。
 ぼうっと天井を見て、横向きに転がり壁を見て、うつ伏せになり枕に顔を埋めたりして時を過ごす。
 それから、ぼくは、母の到着を待つこと無く、深い眠りへと堕ちてしまった。


 ――で、ここからは更にそれからの話。
 深夜。ふと目を覚ます。
 はっと息を飲み、目を開けた。
 仰向けで寝ており、薄暗い視界の先には見慣れた天井があった。
 ああ、そうか、カレーを食べて、風呂に入って、ベッドでゴロゴロしてて、そのまま寝落ちてしまったのか、と思うに至る。
 ごろりと寝返りをうつ。
 その際、ぼくの身体は、温かい何かに接した。
 それは温かい、人の身体だった。
 同じベッドの上に、ぼく以外の誰かがいる。
 すう、すう、と規則正しい寝息が響いていた。
 部屋は、オレンジ色の世界になっていた。ぼく一人で寝る時は完全に消灯するのだが、ぼくの隣りで寝息をかいている人は、オレンジ色で寝るのが好きなのだろう。

「母さん?」と、ぼくは、静かな部屋の中で、比較的大きな声を発してみた。
 しかし、返答はない。
 母は、とてもよく熟睡している様だ。
 目覚まし時計を手に取った。
 午前三時を少し過ぎた頃。母の熟睡も納得の時間帯。
 半身を起こす。
 母は仰向けで寝ている。何故か下着姿で寝ている。
 それを見てなのか、俗に言う朝勃ちなのか判断はつかないが、ぼくは既に勃起していた。
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