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オレンジ色の世界で。
第6章 母の昔、ぼくの今。
「そうだね、お父さんが真面目な人だから、会話もニュースの事とか会社のことばかり。母さんね、お父さんの事さ、大好きだから、真面目なお父さんにね、母さんが本当はエッチだってこと、バレたく無かったんだよ。嫌われちゃうかもって思ってたから。でも、ね?一年前に、たかしくんの部屋でエッチな本見付けてから、なんかさ、ちょっと我慢出来なくなっちゃったの。お父さんが家にいる時は真面目でいられるんだけど、いなくなると、今まで我慢して無理矢理押込めてたエッチな想いが溢れ出しちゃう感じ」
 母は口許に笑みを浮かべていたが、目許は少し困っている様な表情だった。
「あの、それって、じゃあ、ぼくのせいだよね?」
「それは違うと思う。たかしくんのせいじゃ無いよ。多分、もう限界だったんだよ。エッチな本は切っ掛けのひとつでしか無いと思う」
 その母の言葉を聞き、ぼくはふと思った。
 やはり、母は浮気とか不倫をしてるのかもしれない、と。
 でも、それを直接的な言葉で問い質すのは、何だか怖いと感じていた。
 そして、その事実を知ってしまうと、家族がバラバラになってしまうかもしれない、とも思っていた。

「――ねえ、たかしくん?まだ四時になって無いから、もう少し寝ようか?外静かになったから、台風通り過ぎちゃったみたいだね。多分、学校普通にあるよ」
 そう言うと、母はベッドから下りつつ、ゆっくりと立ち上がった。
 恐らくまた、部屋をオレンジ色へと変えてしまうつもりなのだろう。
「あ、あの、母さん?」
 ぼくは咄嗟に声を掛けた。何を告げるか考えずに、少し大きな声で。
「んー?どうしたの?お腹減っちゃったかな?」
「いや、そうじゃ無くて、さ、えーっと、実はぼく、まだ母さんとエッチな事がしたいって、思ってるんだけど、ダメ、かな?」
「えー?でも、今からそーゆーことしちゃうと、朝になっちゃうよ?」
 母は時折、否定も肯定でも無い狡い返答をする。
「朝になってもいいよ!むしろ、朝までエッチなことしてくれた方が嬉しいし」
「ねえ、たかしくん?」
「はい」
「たかしくん、もしかして、母さんと、セックスがしたいって思ってる?なんとかして、母さんにチンチンを入れたいって思ってる?」
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