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借金のカタに妻を差し出しました 復讐編
第8章 3年後
逆崎早喜は、最近買い換えたドイツ製の4ドアセダンを幹線道路沿いのコーヒーショップの駐車場に入れた。
早喜が店内に入ると、待っていたのは井縫火露市だった。
注文したコーヒーを受け取ると、井縫の横に腰掛け、
「いつも、息子の事で呼び出されるんですけど、今日こそ、息子の事ですよね?」
早喜の一人息子は、中学1年生、井縫は通う中学の教頭だった。
「いやぁ、息子さんのことは口実で、また投資の相談だよ。」
早喜は、コーヒーの湯気を見ながら「そうですか。」と、返事をし、井縫の方へ体を向け、投資の話を聞き始めた。

早喜は、入学式で目立つ存在だった。その場にいた誰もが早喜に2回以上は視線を向けた。
シングルマザーで、職業は投資コンサルタント、持ち物も派手では無いが、よく見れば、ハイブランドに身を包んでいた。
入学式から1週間もしないうちに、教頭から呼び出され投資の相談を受け、こうやって週に1回以上は相談を、ほぼ毎日のようにSNSへメッセージが送られてくる。

投資の話が一段楽した頃、井縫は早喜の買った新車の事を褒め始め、ちょっと横でいいから乗せて欲しいと遠回しに行って来たので、早喜は
「ごめんなさい、これから息子が野球の練習試合が終わるから迎えに行く時間なの。」
そう言って、早喜は飲み掛けのコーヒーを持って席を立った。
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