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借金のカタに妻を差し出しました 復讐編
第8章 3年後
1週間後、井縫家の応接間には、4名が集まっていた。
並んで井縫夫婦、向かい合わせに、佐脇と枚河魅久が座っていた。
テーブルの上に、書類を並べて説明をするのは、債権回収担当の魅久だった。

一通りの説明が終わり、最初に口を出したの火露市だった。
返済する金は無い、佐脇は過去に自分達に世話になったのだから、何とかならないかと、口にした。
無論、それは魅久が却下したが、火露市は食い下がってきた。
佐脇は、自分は社長であるが、社員や、顧客からの信頼がある、と再度断った。
それなら、どうすればいいんだ、火露市は高圧的な態度で、ソファーに踏ん反り返った。
魅久は、わざと深く息を吐き、返済のための選択肢を示した。
自己破産をするか、夫婦のどちらかが退職し退職金で返済するか。
自己破産は、世間体もあり、娘、亜耶火の進学資金も無くなってしまう。
退職をすれば、この家に残る借金の返済が出来なくなる。

井縫家は、3代続く教師一家であった。祖父にあたる1代目は、校長まで務め、この地域の教育に尽力し名士と言われていた。この家も建て、他にも財産を多く残していた。
火露市の父である2代目も、校長まで務めたが、途中で地方議員に立候補し当選したが、校長時代の横領などスキャンダルを暴露され議員を辞職したが、その後も立候補するが当選する事は無かった。その時の借金がこの家を苦しめていた。

魅久は、何か売れるものを、探して売るしかありませんね、と言って夫婦を見つめたた後、天井に視線を移した。
視線の意図に気づいた夫婦は、そんな事できる訳ない、この人でなしと魅久を罵った。
魅久は落ち着いた顔で、私は何も言ってませんよ、勝手に想像しないでと夫婦をあしらった。
「でも、女がお金になると、2人ともわかってらっしゃるのね。」
魅久はそう言って、志寿火を見つめた。
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