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第4章 背徳

ドミートリー・ショスタコーヴィチの交響曲第５番
「革命」････今まで何度も聞いたことがあるのにどうして今になって････僕は記憶の海

を刹那に彷徨った。この曲と共に流れていた映像、何処かにしまい込まれた記憶がある筈である。海馬を蹴りつけてシナプスを総動員し、脳神経を電流が駆け巡った。そこら

中でシナプスが励起し、電気信号が飛び交い、そして引っ張り出した。これだ･･･。脳を短時間で酷使して恍惚として放心した。励起したシナプス

が次第に光を失い、電気信号も鎮まって行く。取り出した記憶を何度も回想し、重々しい打楽器の音で始まり、勇ましく重々しいメロディーが入

る、この曲はあれの雰囲気を端的に表しているように感じていた。勿論、極めて表層的なイメージである。そう云えば才能頼みのモーツァルトと

一緒にするな、と云っていた記憶がある。その記憶の断片が核分裂やら核融合やら云う勢いで反応して一連の塊と化して奔流と化して流れてその過程を知る由もない人にいきなり語って困惑されるのだ。