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第6章 泥舟

狩猟採集段階では兆候性の優位が決定的な力を持っていた｡

例えば３日前に通った獲物の足跡を乾いた石の上に発見！

微な草の乱れや風の運ぶ香りから獲物の存在を察知する。

彼らの社会では兆候的事象に敏感であることが優位を保証｡

ところが農耕文化への移行と伴にその優位性の大半を失って負性を帯びた存在に転落！

しかし､廃墟と化した世界に
忽然と姿を現す未来の狩猟民
たちは疑いもなく、、、

都市と云う名の果てない砂漠で漂泊の旅を続ける少女が、

若し遥か彼方に滴る水音を聞き、彼方に蠢く動物の姿を

発見し、地平線に巻き起こる砂塵を見て直に敵の陣形を察

しないようでは彼らは飲食に窮し、異民族に不意を撃たれて絶滅する他ないだろう。

サマリアの女の喩え話は辺境の地にある者にこそ神様は
寵愛を与えると云う喩え話･･

理由は兎も角ホームレス状態
に陥った私は常に神様の
臨存感を感じていた。

危機的な状況に追い込まれていた私は現実と云うものは、

少しも頼るに足りない儚い物で出来た世界と云う事、

他ならない自分がそれら儚い事物の一つである事を痛烈に意識して出口を求めた。

世界のあらゆる所であらゆる事象の裡に神様の無限の善性は徴と化して現れる。

天変地異の前兆だろうか？空が赤い、ホームレス状態から脱出、そして生活の再建、

何者であれ、当の崇高な目的への進路を阻む者があれば

敵と見做して断固絶滅されなければ不可ない。即ち、赤い

空の徴は信徒に向かって戦闘を勧めるジハード聖戦の徴！

命がけの相剋の裡にアパートと云った名前の生活的基盤を獲得して生活再建を果たす。

悪戦苦闘の末、遂には最後の勝利を占める迄の推移は･･･