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スカーレット オーク
第46章 46 同窓会
 三上が直樹の席にやってきた。

「大友、楽しんでるのか?」
「まあまあ。この店って今三上が継いでるのか?」
「おう。親父は経営下手でさ。俺がなんとか持たせたんだ。たまにそこで仲間となんか下手な演奏してるよ」

 なるほどステージがあって小さな電子ピアノが置かれている。

「三上って結婚してたっけ」
「してるしてる。大友はまだなのか」
「まだだな」
「そうか。今時、結婚しなくてもいいと思うけどな。でもしたい相手がいたらした方がいいと思うぞ」
「したい相手ねえ」

 緋紗のことが頭をかすめなくもないが打ち消した。
三上と飲んでいると佐野達女子三人組がやってきた。

「大友くーん。この前はどーもー」
「いえいえ。こちらこそ」

 女子三人組はもう出来上がっているらしく陽気に話しかけてくる。

「なんか、この前ピアノ弾いてた時めっちゃかっこよくてさ。誰かわかんなかったんだよねー」

 佐野が他の二人に高いテンションで話し始め、適当に相槌をうっていると三上が、「バイトしないと生活厳しいのか?」と聞いてきた。

「いや。そういうバイトじゃないんだ。頼まれて仕方なくな」

 佐野が、「一緒にいた女の子ってさー。彼女?」と、今頃、突っ込んできた。――うーん。女ってよく覚えてるよな。

「そんなもんかな」
「なんだいるのかよ。誰か紹介しようと思ってけどな。結婚式の二次会ででも使ってくれよここ」
「そこまでの関係じゃないよ。まだ知り合って間もないし」
「時間じゃないって。タイミングだよ」
「ノリだよノリ」

  佐野と三上が、口々に言う。
二人とも結婚生活が順調なのだろう。
どうやら推進派のようだ。

「ぶっちゃけ年収が低すぎて結婚は無理だよ」

 そういうと大抵この話は終わるのを直樹は経験で知っていた。

「そんなに低いのか」
「うん。前のとこに比べたら半分くらいだな」
「そうなんだー。ちょっときついか?」
「自分的にはそんなに不満ないけどね。相手が不満に思うだろ」
「あの女の子いくつ?相手が結婚したがるんじゃないの」
「二十七だっけかな。自由人って感じだよ」
「でも三十寸前になったら変わるよぉー?」

 佐野は女性視点で話してくる。

「まあそん時はそん時で考えりゃいいさ」

 三上はお気楽に酒をつぐ。
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