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第11章 四日目

乱れた富樫だったが呼吸が整うといつも通りの冷静な彼女に戻った。
汚れた翔太の股間を優しく濡れたタオルで拭き、自分の顔も洗って部屋を出て行った。

時刻が十時になると再び富樫は部屋へやってきた。
しかし試験者の一条寺は予告どおり姿を現さなかった。
富樫は先ほどの乱れ具合が嘘のように黙って椅子に腰掛けていた。
翔太が一人で自慰などをしないかの監視をする。

昼食を済ませても、まだ一条寺はやってこない。
暇になった翔太は屋敷の庭園を一人で散歩していた。
以前会話をした庭師の老人は手拭いを首にかけて庭の手入れをしていた。

広い庭を一人で手入れをしているらしい老人は手際よく草刈りをしている。
翔太はその姿をしばらくベンチに座って眺めていたが、日差しが暑かったために屋敷へと戻って休憩した。

翔太が一日試験をしている時は他の試験者たちは翔太達と会ってはいけないらしく、自室に入っているのか誰とも会うことはなかった。
広い屋敷の中をぶらぶらと歩き、書庫で小説を読んだり、プレイルームで一人ビリヤードを興じたりと時間潰しが続く。

このまま一条寺がやってこなければいいのに。
翔太はそう願っていた。
そうすればさくらも天谷も合格できる。

どのみち最後は一人しか選べないが、面倒なことの先送りでも今の翔太にはありがたかった。

夕方五時を回った時、一人の従者がメイドの耳元で何か説明しにきた。
それを聞いたメイドは小さく頷いた。

「翔太様、お待たせしました。一条寺様の収録が終わりました。今から移動していただきます」