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第11章 四日目

「なんてね」

音符が出そうなくらいに軽やかな口調で舌を出しながら一条寺が微笑んだ。
ステージの上から客席に飛び降り、一直線に翔太に駆け寄った。

「仕事でデートできなくてごめんなさい」

謝りながら翔太に抱きついた。

「別にいいよ。気にしないで」

「何そのそっけない言い方っ！　どうでもいいよって聞こえますっ！」

一条寺はむっとしながら翔太から離れた。

「別にそうは言ってねぇし」

「そうは言ってなくてもそう聞こえたんですっ！」

「大切な仕事だったんだろ？　それをキャンセルしてデートするような奴は好きじゃないから、俺」

思ったままのことを口にする。
しかしその言葉は仕事で疲れた上に、翔太に嫌われたかもと感じていた一条寺の心を癒した。