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第4章 許嫁理由

恋人と結ばれた翌朝、翔太は心地よい疲労と充実感に包まれ、朝日が差し込む時間になっても目覚めずにいた。

眠る翔太のベッドにそっと近付いていったのは翔太の幼なじみである天谷聡子であった。
天谷は無防備な表情で眠る幼なじみの見慣れた顔を見詰める。

幼なじみの寝顔をまじまじと見るのは久しぶりの天谷は、翔太のだらしない油断しきった表情を見て口許が緩む。
翔太の寝顔に引き寄せられるようにゆっくりと唇を近づけていった。

息がかかるくらいに近付いて、天谷の心臓は全力疾走を終えた後くらいに激しく鼓動した。
その心音で翔太が起きてしまうのではないかと馬鹿なことまで想像してしまうくらいに。

ゆっくりと翔太の唇に近付き、あと数センチ、というところで急に翔太はぱちっと目を開いた。

「うわぁあああっ!?」

開いた目と思い切り視線があった天谷は飛び跳ねるようにのけ反りながら尻餅をついた。

「あ、天谷……おはよ……」

寝惚けて事態が把握できない翔太は目を擦りながらあくび混じりに挨拶をする。

「しょ、翔太っ!!　起きるなら起きるって言えよ!!」

「はあ？　起きますって言って起きるやつなんかいるかよ？」

失笑しながら翔太はベッドの上で起き上がる。