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片時雨を抱きしめて
第2章 第二章 片時雨



その日は、記録的な豪雨だった。
近くの川の状況を流しながら、ニュースキャスターが険しい顔をして原稿を読んでいた。

「ねえママ、ちょっと話あるんだけど」

ママが珍しく家にいて、
いまだ、と思った。心臓が口から出そうだった。
ママが私の父親と別れてから、まともに会話をしたことはなかった。

なあに、テレビから視線を離さすにママが応えた。

「大学の、ことなんだけど」

ママの動きがぴたっと止まった。面倒くさそうに口を開こうとするのを、急いで制した。

「あっあのね、奨学金とかもたくさんあって、所得によっていろいろあるんやけどね、ほら、これとか、学校の先生とも話して___」



「雪乃ちゃんは、ママのこと、捨てるの?」

「______え?」


ママがテレビから視線を外して、私の目をみた。
化粧のしていないママの顔をまっすぐに見つめるのは、本当に久しぶりだった。
以前見た時より、ずっと、年を取ったようにみえて、動けなかった。




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