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片時雨を抱きしめて
第2章 第二章 片時雨




「だって大学に行ったら、ママのことなんか捨ててどっか遠くにいっちゃうんでしょう? ママ今こんなにつらいのに、頑張ってるのに、雪乃ちゃんはわかってくれないの?」

ママの目からぼろぼろと涙がこぼれる。
その涙をぬぐう姿は本当に幼くて、私は思わずそばに駆け寄った。

「違うの、違うんよママ、近くの学校探すし、ママのそばにずっといるから、ね、ね」

ママの背中をそっとさそった。精神科の薬の量が増えたママの背中は骨ばっていた。

ママは私の手を振り払って、泣き続けた。

手当たり次第に周りにあったゴミを拾って私に投げた。

「この恩知らず! 出てってよ、ねえ、出てって。

生まなきゃよかった、そしたらあの人ともうまくやっていけたのに、
あんたが、あんたがいるから________」



中身の入ったビールの空き缶が、私の頬にあたってこぼれた。
頬につたったものがビールなのか、私の涙なのか、もうわからなかった。


私ははだしのまま家を飛び出した。


泣きたいのは私だよ、ママ。私なんだよ。


でも、
生まれてきてごめんね。私がママを、不幸にしている。
私がママの幸せの足かせになっている、いつだって。今だって。
ごめんね、ママ。
ごめん。




外はまだ、大雨だった。




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