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墜ちてイク~性奴隷妻は羞恥指令に躯は溺れて……。
第8章 チャプター08
 途中、男は道を逸れるか、引き返してくれるのではないか――郁美(いくみ)はそう願ったが、そうはならなかった。
 男は壮年の男性で、がっしりとした躯つきをしていた。肉体労働者だろうか。土の匂いを、郁美に感じさせた。背はそれほどでもないが、肩幅があり、歩き方も堂々としていた。スーツ姿ではなく、黒のTシャツに、ジーンズといったラフな格好で、何かの用向きで遊歩道を歩いているようには見えなかった。もっとも、午前中のこんな時間に、いかがわしいこの公園を散歩しているなど、まともな社会人であるはずがないのだが。
 男がちらりと、こちらを見た。目が合うと、いわくありげな笑みを浮かべた。二人とも、遊歩道の真ん中で、足を止めた。郁美は見つめ合う、というよりも、男の眼差しに、視線を逸らすことができずにいた。本能的に、危険な香りを男に感じた。それと同時に、郁美は骨盤から、ぞくぞくとしたものが背骨を這い伝わっていくのを感じた。
 かつて、風俗店にも、そういった種の香りを発散させている客が訪れることがあった。そして、そういった男たちに抱かれると、例外なく気絶してしまうほどの絶頂を極めてしまうのも、郁美の記憶に深く、刻み込まれていた。
 男の視線に貫かれながら、郁美はチュニックをゆっくりと脱いでいった。扇情的なタンクトップ姿を見て、まともな大人ならば眉をひそめるところだが、目の前のその男はまったく、そういった素振りを微塵にも見せなかった。淫靡な笑みを浮かべ、郁美へと近づいてきた。
 手を差しのばし、抱きしめられる時、郁美は息をとめた。郁美は息を止めた。先刻の痴漢プレイから男子トイレでアナルを貫かれるなど、異常な経験が郁美の頭を官能に痺れさせているのか、抱きしめられただけで、興奮しているのを感じた。
 ――これでは本当に、男漁りをしている痴女そのものだ。
 郁美は思ったが、そう感じてしまうのは、どうしようもないことだった。
 男が顔を近づけてきたが、郁美はキスは拒否した。トイレで、夫以外の男とキスを交わしているのだから、今さらなのだが、最初からそれを許してしまうと、どこまでも堕ちていってしまう――そんな気がしたからだった。
「早く――ここじゃ駄目。見られてしまうから」
「こんなところ、誰も来ないさ。それに――見られる方が、興奮するんじゃないか」
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