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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第3章 #2


「俺と双子なんかじゃなきゃ、きっと美希はそう出来た。俺が美希の人生を台無しに――」

「じゃあ上田の人生はどこ行ってん?」


片桐の言葉に上田は意味がわからないとでもいうように顔をしかめる。


「俺のことなんかこの際どうでもいいんだよ」


本当なら上田はこんな女装をすることもなく、普通に男子として学校に通っていたのに。一度も考えたりはしないのだろうか、疑問さえ持たないのだろうか。


(―…持たんからこそ、やってられんのやろな)


どうにも重たい空気を茶化すように片桐は話を少しそらした。


「女子高に男子がまじっとるってどんな感じ?着替えとかも見放題なんちゃう?」

「はあ?女子高なんてろくなもんじゃねえよ。口ばっかり達者でねちっこいし、男の教師の前でも平気で下着姿とか授業中でも関係ねえし」

「何それパラダイス?!」


驚く片桐に上田は軽蔑の眼差しを向けた。


「羞恥心がねえんだよ。見ててウンザリする。全員が全員そうってわけじゃねえけど、嫌なとこほど目につくからな」


普通の男なら女子高生の下着姿は喜ばしいところだが、上田的には汚物も同然らしい。理想と現実は違って、上田は現実の部分を見すぎているだけだろうか。


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