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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第3章 #2


「とにかく。ミキがお前とデートをしてみたいって言ったんだ。今までそういうのなかったから……」

「ほな、ミキちゃんが付き合いたい言うたらお前俺と付き合うのん?」

「……ミキとしてな」


しぶしぶという空気を全面に上田は呟く。片桐はうーんとしばらく唸った。


「俺な。ミキちゃんやなくてお前がええねん」

「知らねーよ。男と付き合いたいとか理解不能」

「それちゃうなぁ。上田が女でも男でも何でもええねん。どんな歳で何しとるどんな奴でも。俺が会ったのは上田で、俺が惚れたんは上田やし」

「――――」


上田が絶句してしまった。引いていたはずの血がまたほんのりと頬を染め上げていく。


「で?下の名前、教えてくれへんの」

「……マサキ。真実の希望で真希。生まれる前から決まってたから両方男だったらマサキとヨシキ、女だったらマキとミキ、って」


ぶちぶちと不本意そうなわりに饒舌な上田に、片桐は頬を弛めた。


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