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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第5章 #4
水気を含んだ黒髪が冷たい。というか上田自体が冷たい。
「ちゃんとお湯出せたん?」
「頭冷やそうと思ってだいぶ冷たくしてた。気持ちいい?」
冷えきった手で顔を撫でてくる。火照る体の熱を吸い取るようで気持ちが良かった。
「マサキが風邪ひいたらシャレんならん」
「うつしていいよ」
抱き寄せると全身から熱が混ざりあう。足を絡めてきた上田に欲情は限界まで高まる。
「どうして我慢してるの」
「……どうしてやろな」
上田の静かな問いかけは感情が読めず。目を閉じてこのまま眠ってしまいそうな頬を撫でてみた。