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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第5章 #4
「じゃあこれからは俺が教えたる」
「っ……」
「どこが気持ちいいとか何が好きとか。マサキだけの本来の自分らしさを取り戻したらええねん。」
ゾクゾクとするのが伝わる。肌越しに共有する感覚は自分のものか相手のものか出所は曖昧で、でもそんなことはもうどっちだって良かった。
「安心して、俺をマサキの居場所にしたらええねん。全部俺が愛したる」
額を押しあてて熱い息を吐く。
「何で泣いてんねん」
「キスして」
音をたてて何度も口付けると、背中に伸びた手がしがみつく。
本当はずっと迷子のように怯えていたのだろうか。自分を見ないことでしか誤魔化しようがなくて、誰かに助けて欲しかったんだろうか。
熱を帯びた互いの体が触れ合う度に、小さな電撃が走る。焼けた跡が痺れてどうしようもない快感になってじんわりと広がった。
「マサキ……これ、気持ちい?」
「… んっ」
「我慢せんで全部言えや?」
上田は恨めしそうに少し睨んで来たが、力のない目では逆に誘って見えた。あんまり言葉にしない分体は素直だった。