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愛妻ネトラレ 久美子
第10章 短期バイトのカワイイ男子高校生
『そっか、熱は今は大丈夫なの?でも休むなら連絡くらいしなきゃダメでしょ。他の人だって、心配するんだから』久美子は二回りほど歳の離れた少年に道理を説く。

『はい、本当にすいません…。久美さんも心配してくれたんですか?』と神谷少年。
『当たり前でしょ!』と久美子。
まぁ、心配して気になり過ぎて普段はしないような凡ミスを今日連発してきたのは内緒だが。

『まぁ、元気なら良かったわ。それじゃあね、今度からもしアルバイトしてて休む時は必ず連絡するのよ。じゃあね』と言って帰ろうとする久美子。
慌てて神谷少年が引き止める。
『せ、せっかく来てくれたんですから。お茶くらい出しますからッ』と神谷少年。

『でも、悪いわ』と久美子。
『お願いしますッ、お茶だけでも。あ、それに二人で送別会してくれるって言ったじゃないですか』必死に食いとどまる神谷少年。
粘る姿がストリート上のナンパ師のようだ。

その必死の様子にクスッと笑った久美子は『じゃあ、ちょっとだけお邪魔するわね』と玄関のドアをくぐるのだった。

『あ、そう言えば久美さん。どうして僕の家分かったんですか?』
外見通り、中も立派なお茶の間に案内しコーヒーを久美子に出しながら、神谷少年は久美子に尋ねる。

『あ…、ま、前にたまたま隆太君がこの家に入ってくのを見たから。へ~ッ、ここの家なんだって思ってて…』ちょっと怪しく言い訳じみた説明をする久美子。
本当は、今日 事務所で履歴書を盗み見て住所を調べたとは、決して言えない。

『そうなんだ…』素直な神谷少年は、久美子の説明で納得したようだった。

二人でコーヒーを飲む、若干の気まずさに久美子は『あ、隆太君のご両親は?』と会話を探す。
『父さんも母さんも、元々仕事であまり家にいなくて…。最近は、社会情勢で尚更仕事たいへんみたいで…』神谷少年は寂しそうに説明する。

『そっか…』なんか、ごめんね、と言おうとした久美子を遮り、わざと明るい口調で神谷少年は『ね、久美さん、僕の部屋にいかない?まぁ、あまり片付けてないし、何もない部屋だけど。久美さん、僕の部屋に入る女子第一号になってよ!』と言う。
『女子って歳じゃないけどね…』久美子は苦笑いしながら、神谷少年と一緒に二階の彼の部屋へと移動する。
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