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瀬音とボクとよしみくん
第35章 デート②
「いや、だってこのタダ券、どうしたと思う?」


「え? こっそり拝借してきたのでは?」


「やっぱりそう思ってたか」


「うん」


「これ、親父が持ってけって、くれたんだよ」


「まさか」


「本当だよ」


「まぁ、そっか。きっと、かわいい女の子とデートって思ってるんだね」


「いや。ちゃんと、純とデートだって言ったぞ」


そんな、はっきりと言わなくても。


「女の子って勘違いしてない?」


「う~ん、それはないな。純のこと何故か知ってたみたいだし。てか、純の名前を聞いたとたんに慌てだしてな。純とどこまでいってるんだなんて聞かれてよ。俺のことなんか興味なさそうなのに、珍しく頑張れよって……」


「へ、へぇ~。そうなんだ」


本当にボクのことを知った上で、言ってるのかわからないけど。
まぁ、とにかくそれは嬉しい。


あらためて、写真の二人を見る。


はにかみながらも仲が良さそう。


「25年もたっても仲が良いなんていいよね。銀婚式だっけ? よくよく考えると、良い企画かもしれないよね。25年後に家族でこられたら……」


なんて、ボクたちは無理かもしれない。


「あ……言っとくけど、この二人、両親じゃないから」
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