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第5章 素顔の君

『ってぇ…！！ざけんな！』



『そんなに部活が楽しいなら

お前が帰って来なきゃいいだろ…！』






『～～～ほら！・・・っやめ！やめ！

やめなさいっ・・・！

リョウキ、もうすぐ大会でしょ？！

ケガなんかしてらんないでしょう！』







落ちこぼれで…悪かったな






リョウキが悪いんじゃない


わかってたよ、いくらバカでもさ






ただの八つ当たりだってことくらい







感情の行き場がなかったんだ









『ほら！ケイゴ・・・やめなさい！

あんたも…！ほどほどにさないよ？！

何が気に入らないのか知らないけど

リョウキに当たるのはやめなさいっ

はなれなさい！！・・・もぅ、ほらっ！』








弟ばかり・・・可愛がって、とか

そんな事を感じた事も

そんな風に思ってたのでもない





そんな理由じゃないことは

オレが一番わかってたんだ






うるさい・・・





うるさいんだよ



どいつも、こいつも




優等生がそんなに立派なのかよ


先生のお気に入りになるヤツが


そんなに偉いのかよ






一々、正論振りかざして



オレを・・・バカにしてさ





なんて？








思春期、真っ只中だから？





男兄弟…ヤンチャでナンボ？


それらしい兄弟喧嘩なんて

いくらでもあったけど





だからってさ







『っっ・・・っ・・・耳元で

キンキン、キンキンっ・・・

うるさいんだよっ・・・クソババァ！！』











もっともらしい

こんな暴言を

母親に吐いたのは

初めてだった・・・。