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第5章 素顔の君

基本的に放任主義な母さんは



普通で良い

人並みで良い

元気に育ってくれれば



そういうスタンスだった




基本的に〃どちらの味方でもない〃




出来の悪いオレにも

何故か出来の良い弟にも




言ったら〃平等〃だった





〃最低限の事は責任をもって…〃

それ以外は

なにもうるさい事を言われた記憶はない






オレが落ちこぼれなのは…オレのせい





弟が優秀なのは…弟が努力してるから







それが、わかっていたから


何も、まともな事を言えなかった






それは、ただの

〃やっかみ〃ってもの









『もう、やめて・・・っ！

や・め・な・さ・い・・・！！！』





落ちこぼれの長男…

出来が悪いのは嫌ってくらい知っている

そんな母親も



訳もわからず弟に当たりちらして

半ば暴れたオレを見たのは初めて





ショックを受けていただろうな







血相を変えて

必死になって

オレとリョウキを…引き剥がす






『…ﾊｧ…ﾊｧ・・・リョウキ

先に降りてて・・・』





ムッとしたままのリョウキを

強引に立ち去らせて

母さんは・・・しばらくオレを見つめて

時間差で階段を降りて行った










『・・・』





〃・・・・・・ごめん〃









謝るくらいなら

初めから…そんなことしなきゃいいのに





そんな言い訳を自分の中でして

オレは…母さんにも

リョウキにも

やっぱり謝る事が出来なかった









・・・こんなんだから


ダメなんだよ







自業自得だよな・・・






なぁ・・・・・・カンナ？