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Best name ~ ひまわりとの約束 ~
第5章 素顔の君
『・・・ぅ』
あのまま眠りこけて夜中に目を覚ます
机の上には
ラップをかけたおにぎりとおかずが
さみしそうに置いてあった
〃バカでもアホでもいいから
ごはんはちゃんと食べなさい〃
口癖みたいな母親の言葉が聞こえる
そんな気がして
オレは…おにぎりを頬張った
カンナからの連絡はない
って言うより
オレがシカトしたんだよね
何を期待してたんだろうか
何も話さないまま
連絡も取り合わないまま
あっという間に何日かが過ぎた
意外なくらい
学校では顔を見なかった
不思議なもんだね
気まずいと思ってたオレは
おかげで気が楽だった
『ただい……』
『おかえり~~~♪…お疲れさま』
いつものようにバイトから帰ると
母さんは・・・〃いつものように〃
夕食を作って待っていた
『お腹すいたでしょ?♪
座ってなさい…~~』
『・・・』
ちょうどバイトの給料が出た日
オレは…その母親の背に声をかける
『母さん・・・、・・・これ』
『うん・・・??』
テーブルに置いたのは
一人分のケーキと紅茶
ほとんど贅沢するってこともない
母さんの…好物
『ケイゴ・・・』
『・・・たまたま、給料日だったから』
この間は・・・ごめん
相変わらず?そう言えないオレ
『あらお母さんに?・・・いいの?
一生懸命バイトしたお給料でしょケイゴ』
『・・・』
〃ごめん〃・・・その一言が言えない
オレの心情を汲み取るように
『ふふ・・・ありがとね、ケイゴ』
母さんは笑顔を見せた
『・・・~~~
あと、これ・・・リョウキに』
『あら・・・』
『ゃ・・・もらったんだけど
オレ・・・使わないから』
明らかに今買ってきただろって感じの
新品のタオル
『リョウキまた合宿に行くから
きっと喜ぶわよ・・・うん、伝えるね♪』
『・・・うん』
甘ったれたオレ・・・ダサすぎ