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Best name ~ ひまわりとの約束 ~
第11章 命のきらめき
コンコン…
『リョウキ・・・起きてる?』
∥落ちこぼれの金メダル∥を
受け取ったオレは
その足で
隣の弟の部屋に向かった
『うん?なに・・・?』
風呂上がりで…Tシャツ短パンのリョウキは
イヤホンしたまま
床で習慣のストレッチしてた
『ゃ…あの・・・∥これ∥…』
開けたばかりの万年筆を
弟に見せて少し言葉に詰まる
『え?…~あぁ、うん』
なんとも感情のなさげな
軽い返事の弟
『ありがとな・・・リョウキ』
面と向かって言うことのない
たった一言を…少し詰まりながら返す
『∥すげーなぁ∥…って思ってさ♪
さすがに驚いた・・・』
『ぇ・・・』
今のは本当に弟の言葉か?
弟から…オレへの…言葉だろうか??
ポカンとしたオレに
リョウキは…あの少しイタズラな
ニヤケ顔を見せる
『すげーじゃん・・・兄貴
∥初めて∥尊敬したわ(笑)』
『・・・』
『オレだったら多分…無理だった(笑)』
『・・・~』
弟は…多分イイヤツだ
少なくとも…オレ以外には(笑)
って言うか仲間や身内
世間一般に…普通に…素直な良いヤツだ
それは兄弟のオレに問題があるだけで
弟には…裏表もない。
弟はオレなんかと比べ物にならないほど
真面目で…人望もあつくて…なんだか優秀で
いわゆる良いヤツだ。
悔しいが
オレは認めてる(オレまるくなった?(笑))
そんな弟に…問題アリな兄のオレは
無理もないけど…弟の素顔を
見せてもらったことはない(笑)
よく・・・言うよ
分野が違うだけで
人よりうんと…器用で秀才なヤツがさ
なんて皮肉さえも言えずに
本来の素直な弟の姿を
初めてまともに見たようで
ろくに言葉が返せなかった
『マジで∥おめでとう∥・・・兄貴』
手短に…言葉少なく言うと背をむけて
リョウキは癖のようによく曲がる親指を
グニ~っと立てて、試合の時のように
ブイサインをして見せて
耳にイヤホンを戻すと
ストレッチを続けた
『・・・』
ありがとな・・・