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それでも僕は
第15章 15★
「…………分かった、ちゃんと料金は支払うんだよな」
「もちろんだよ」
俺が念を押すと男はにんまりと笑う。タンクトップの男に着いて行けば酷い目に合うのは分かっていても、最近発作が起きる頻度が上がってる。男が本当に提示した金額を払うならどんなに酷い目に合っても良い。
「ここは…」
「ちょっとした隠れ家バーみたいなところさ」
タンクトップの男に連れて来られたのはハッテン場から近くにあるバーだった。タンクトップの男に連れられバーに入る。明らかに未成年の俺が入っても誰も気に止めない。まあ売春している時点でいまさらだが…。タンクトップの男はウィスキーを注文する。
「いつものを頼む」
「かしこまりました」
バーテンダーはタンクトップの男の注文を聞くとカウンターのほうに向かった。
「黒崎くんは『こういうお店』は初めてかい?」
「一応…」
「お待たせしました」
バーテンダーがウィスキーとつまみを持って来た。タンクトップの男はウィスキーをふたつのグラスに注ぐ。
「黒崎くんもどうぞ」
タンクトップの男は俺に酒を勧める。俺はため息を吐いて男が前に置いたウィスキーを一気に飲み干した。苦い…初めて酒を飲んだ感想は苦いだった、あまり好きになれそうにないなと思いながらグラスを置いた。
「よお、ソイツが噂の『黒崎』か?噂通りキレイな顔しているじゃないか」
「……?」
タンクトップの男の知り合いらしき男は俺を物色をするような目付きで俺を見る。腕に刺青を入れているタンクトップの男もかなりアレだが、知り合いらしき男も顔面ピアスだらけでかなり目立つ。
「……あ、熱い」
ウィスキーを飲んで少し経つと俺の身体が熱くなる、店内はクーラーの効き過ぎでむしろ寒いくらいなのに…。
「………もう飲ませてあるのか?」
「………思ったよりも上玉だったからね……逃げないようにしないと」
男達の会話が頭に入って来ない。
「お、俺に一体何を…飲ませた」
「……効き目が弱かったかな?もっと飲もうか?黒崎くん?」
「んぐッ…」
タンクトップの男がウィスキーのボトルの口を俺の口に突っ込んで一気にウィスキーを流し込む。
「はッ…熱い…」
「シャツを着ているからじゃないか?」
熱にうなされる俺をピアス男が面白そうに見ている。