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それでも僕は
第6章 6※
俺は購買でいくつかパンを買って優馬と昼休みにたまり場にしている空き教室に向かう。早く優馬に会いたい俺は自然と早足になった。
「…でさ?」
楽しく誰かと話している優馬、いつも俺と話している時は眠そうにしているくせに…。
「…ずいぶん楽しそうだな?」
「うわっ!?びっくりした!?」
俺の存在に気付いていなかったのか大袈裟に驚く優馬。
「…で誰と電話してたんだ?」
「ん?あぁ…お世話になっている叔父さんだよ」
「……優馬の両親は?」
「亡くなったよ…俺が小学生の時に交通事故で」
「……そうか…」
興味本位で触れてはいけないところまで触れてしまった。優馬のことを知りたい気持ちが先行しし過ぎてどこまで踏み込んでも良いかの見極めをしくじってしまった。
「別に良いよ、もう結構前の話だし」
悪い…と謝った俺に優馬は肩を竦めた。そして優馬は眠そうにあくびをしてチャイムが鳴ったら起こすように頼んで昼寝を開始した。優馬は横になって数分で深い眠りに落ちた。本当によく寝るな…と思いながらその理由を聞いて良いかどうか迷いが生まれる。もし優馬が何か困ってるなら力になりたい。
「…………」
思考が煮詰まったところで俺は優馬の寝顔を見る。普段はクールな雰囲気を漂わせているくせに寝ている時の笑顔は子供っぽくて可愛い。俺はそっと優馬の頬に触れる、よほど疲れているのかいくら触っても起きる気配がない。俺は親指で優馬の唇をなぞる、柔らかい唇に俺は自分の唇を押し付けた。
優馬にキスした瞬間、俺の中の何かが弾けた。生まれて初めて味わう感覚だった。そして俺はなんで優馬がずっと気になっていたのかようやく理解した。
(……俺…優馬のことが好きなんだ…)
優馬が好きという事実をすんなり受け入れられた。そのくらい優馬への想いは確かなモノだった。俺は優馬が目を覚まさないことを良いことに優馬の唇を貪り続けた。