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籠の中の天使
第8章 楽しかった?
暗闇に朝日が射す。
目を覚ませば私の部屋のベッドだった。
ゆっくりと身体を起こすと私の手を握ってる人が居る。
「南斗…。」
まだ5時…。
私のベッドに頭だけを乗せて眠ってた南斗が目を覚ます。
「今…、何時だ?」
少し寝ぼけてる南斗が私の手を握って無い方の手で子供みたいに目を擦る。
可愛い…。
そんなくだらない事でも私は南斗にドキドキしちゃう。
「5時…、もう少し寝る?」
南斗の髪にドキドキとかしながら触れてみる。
南斗の顔が朝日で赤く染まる。
耳まで真っ赤にした南斗の頭をゆっくりと撫でる。
「夕べは…、悪かった。疲れてたから…。」
南斗が私の手に甘えたように頭を預ける。
「南斗に…、嫌われたと思った。修学旅行じゃ南斗にいっぱい迷惑を掛けたから…。」
「迷惑とか思ってない。ただ余裕がなくて…、早月先生に手伝って貰えなければ咲都子の面倒すら見れなくて…。なんか俺ってカッコ悪い…。」
いじける南斗が愛おしい。
「南斗が居てくれたから…、頑張れた。修学旅行…、楽しかった。」
あれほど行きたくなかった修学旅行なのに、今は私の中で良い思い出になってる。
逃げるだけじゃダメだと教えてくれた北斗さんや南斗に感謝の気持ちでいっぱいだ。
「今日、宅急便が来るぞ。咲都子と食おうと思って奮発したから2匹もあるぞ。」
照れ隠しに南斗が笑う。
「2匹!?私も南斗と食べる分を1匹送って貰ったのに…。」
「なっ!?咲都子のお小遣いじゃそんなに買えなかったろ?」
「向井さんが凄く値切ってくれたからお父さん達の分とか4匹も買えたの。」
「うげっ…。」
お店の言い値で買った南斗は私の4匹分の値段で2匹を買ったらしい。