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籠の中の天使
第11章 散る花



そうだね…。

私に友達なんか居ない。

杉山さんには向井さんが居る。

私には何も無い。

南斗しか居ないの…。

だからお願い…。

私から南斗を取らないで…。

神に祈るように電車のドアにしがみつく。

1人にされた私は車内の人の好機の視線に晒されたまま、南斗の居ない部屋へと帰る事になる。

南斗の部屋は真っ暗なままだ。

ベッドに入っても南斗と千紗先生が抱き合ってる姿がチラついて眠れない。

吐き気がして何度もトイレで吐く。

北斗さんには言えない…。

言えば南斗が叱られる。

南斗…。

帰って来て…。

南斗の口から千紗先生の事はくだらない噂だと言って欲しいの。


「南斗…、愛してる。」


最後は南斗のベッドに潜り込んで眠ってた。

朝になって携帯を確認すると向井さんと峯岸君からメッセージが届いてる。

峯岸君のメッセージは学校の最寄り駅での待ち合わせ時間が書いてある。

向井さんのメッセージは


『咲都子、ごめんね。瑠奈は叱っておいた。咲都子を1人で帰らせたって聞いた。咲都子には迷惑だったかもしれないけど、瑠奈も辛い時期だから許してやってね。』


というフォローの言葉だった。

グループから杉山さんが抜けてる。


『ちゃんと帰れたから気にしないで…。』


向井さんにメッセージを返す。

気にしないで…。

私の事は放っておいて…。

私と南斗の邪魔をしないで…。

私は南斗の部屋の籠娘です。

峯岸君の事もちゃんとしなければと髪を梳かし、服を着替えて待ち合わせに向かう。

貴方とは付き合えない。

そう伝えるだけの事…。

待ち合わせの場所に峯岸君が居ない。


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