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籠の中の天使
第12章 明けない夜
「学校を辞めて、あの街で働こうと思ってる。でも初めてが知らない人って辛いから…、ノアに貰って欲しいの…。」
「なんで俺なんだよ?好きなやつが居るんだろ?そいつの事はもういいのかよ。」
「振られちゃった。誰ももう私を助けてはくれないの。私にはノアしか頼める人が居ないの…。」
狡い籠娘は知ってる。
ノアは助けを求められると断れない人だ。
『たこ八』のおばさんが困ってるという理由だけでアルバイトを引き受けた人だもの…。
私の想像通りにノアは誤魔化したり茶化したりする事もなく真剣な眼差しで私の言葉を吟味する。
「お前、それで後悔しないのか?」
ノアの手が私の顔に触れて来る。
温かなノアの手…。
それは南斗と同じ温もり…。
「しない…。」
自信たっぷりに答える私を赤い炎が優しく笑う。
「参ったな…。」
ノアが苦笑いする。
「今すぐじゃなくていいの。私が18歳になる前に…。」
「わかった。考えとく…。」
「じゃ、帰るね。」
サバサバとした私の手をノアが握る。
「お前、明日は暇か?」
突然のノアの質問…。
「明日?」
もう抱いてくれるつもりなのかと思うと少し驚きが隠せない。
「明日、『たこ八』は定休日だ。バイトが無いから迎えに行く。ひとまずはデートでもしよう。俺も流石にその気にならない女相手に勃つか自信がねえ…。」
勃つとか露骨に言われると頼んだこっちが恥ずかしくなる。
「わかった…、デートする。」
「んじゃ、送る。この前のマンションか?」
「違う。私の家…、あの街にあるの。」
来た道をノアと引き返す。
あの街では今夜もお客さんを呼び込む声がする。