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籠の中の天使
第12章 明けない夜



ノアが向ける視線から顔を逸らして不貞腐れる。


「まだガキだもん…。」


私はまだ高校生だ。

私が大人なら南斗を苦しめる事はなかった。

胸の奥にチクリと小さな痛みを感じる。


「お前、水族館でサメとかタコとか見た後に男とそういう気分になれるとか思う?」


ニヤニヤしながらノアが言う。

その気になるか?


「ならないよね…。」

「俺はそんなデートをしない。」

「じゃ、ノアはどんなデートをするの?」


女に不自由をしないノアのお手並み拝見だと挑発する。


「そうだな…。」


しばらくノアが考え込む。

彫りの深い顔…。

そのエキゾチックな顔で真剣な表情をされたら女の子なら誰もがノアに夢中になりそうだと思う。


「略式でいいなら、ちょっとだけ本気のデートをしてやるよ。」


自信たっぷりの笑顔…。

ゾクゾクさせられる。


「本気のデートって…、今日は本気のつもりじゃなかったの?」

「初っ端のデートでは本気を出さないのが普通だろ?」

「そうなの?」

「日本とアメリカじゃ違うのからな。」


アメリカ育ちのノア…。

デートする感覚が少し違うらしい。


「日本人って先ず付き合ってないとデートしねえじゃん。アメリカじゃ付き合いたいって思う女とデートするのが当たり前なの。」

「最初に告らないって事?」

「相手を理解してから告る。知らない女に告っても付き合ってみて自分の理想と違ってたら最悪だからな。」

「だからデートしてから告るの?」

「つまり本気のデートは絶対に失敗が出来ないというプレッシャーがあるし、デートの最後でキスが下手だったからとかいう理由で振られたりしたらマジに凹むぞ。」

「張り切って本気のデートをして、最後のキスで振られたら確かに可哀想かも…。」


ノアの話に笑ってたら、車が私の知らない場所で停まる。


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