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籠の中の天使
第7章 知られたくない



ホテルに戻ると早月先生が私の方へと走って来る。


「相原さん…、大丈夫だった?部屋に行ったら、相原さんが居なくて…。」


南斗に言われて私に付き添うつもりだった早月先生はホテルでずっと私の心配をしてたらしい。

病人用の部屋に私が居ない事に気付いた早月先生が病院の南斗に連絡して、捻挫をした子が野球観戦に行きたいと言った為に南斗はタクシーでその子とドームに駆け付けた。


「困ったもんね。塚本先生は…。」


早月先生が千紗先生の連絡不足に眉を釣り上げる。

年配のおばあちゃんみたいな先生だから、怒った顔でも全く怖いと感じない。


「お風呂は先生と入る事になるけど…、いいよね?」


他の学生は大浴場に交代で入るらしいけど、私は早月先生と小さなお風呂に入る事になるらしい。


「準備して来ます。」


部屋に行き、着替えや歯ブラシの用意をする。

早月先生が私を迎えに来たのは11時過ぎ…。

本当なら就寝の時間だけど、他の学生のお風呂の段取りなどで忙しい先生達だから予定がかなり遅くなってる。

先生って大変だな。

お年寄りの早月先生がお風呂でフーッとため息を吐くのを見ると学生のくせに同情したくなる。


「先生、お疲れ様です。」

「まだまだお疲れ様じゃないわよ。明日から函館に移動するんだから気が抜けないわ。」


早月先生が本当に疲れた表情を見せる。

本来なら、修学旅行などの行事に参加するはずのない先生だ。

私のせいで特別に参加してる早月先生には辛いだけの行事にしかなってない。

普通に修学旅行に参加出来ない私が悪いのだからと自分を責める。

明日からは函館に移動する。

函館で2泊して飛行機で帰る予定になっている。


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