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籠の中の天使
第7章 知られたくない
今すぐに帰りたい。
でも帰る場所なんかない。
布団に潜り静かに泣き続ける私の傍に黙ったままの南斗が寄り添ってくれた。
翌朝、私を迎えに来たのは早月先生…。
まだ5時半だというのにお元気だ。
「相原さんは平気?ああ、相原さんって朝はいつも早いものね。私みたいにおばあちゃんになるとすぐに目が覚めちゃうのよ。」
いつもよりも早月先生がはしゃいでる気がする。
「朝は美味しいものをしっかりと食べたら1日中元気で居られるわよ。」
張り切ってバスに私を乗せる早月先生に笑っちゃう。
「相原…。」
少し元気の無い声がバス内の通路を挟んだ隣側から聞こえる。
そこにはまだ寝てる達也君と峯岸君が居る。
「あらあら、峯岸君も元気が無いわね。委員長はクラスの代表として朝ご飯をしっかり食べなきゃダメよ。」
私が返事をする前に早月先生が峯岸君に言う。
「はぁ…、まぁ…、了解です…。」
眠そうな峯岸君が曖昧に早月先生に返事をする。
千紗先生も眠そうだ。
朝からご機嫌の早月先生だけがバスの座席で今日のスケジュールの確認とかをしてる。
バスは朝市に着いた。
「ご飯とお味噌汁のお代わりは自由です。おかずは自分達で選んで下さい。」
朝ご飯の説明を受けて学生は一斉に市場の中へと向かう。
市場で好きなものを買い、朝ご飯にする。
学校からは1000円札が入った封筒が渡されている。
「夕食が2000円で朝食が1000円って安すぎない?」
杉山さんが口を尖らせて私に聞いて来る。
「そう…なのかな?よくわかんない。」
朝ご飯はコンビニのおにぎり1個が当たり前になってる私の場合、1000円の朝食って凄いとか思う。