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籠の中の天使
第7章 知られたくない
「あたしら…朝ご飯とか食べないし…。」
「お土産だけ買ったらバスに戻っていいんじゃない?眠くて堪んないよ。」
岡村さん達の声がするからビクリと身体が強張る。
「相原…、こっち…。」
その岡村さん達から引き離すように私の手を引く人が居る。
峯岸君…。
私が動けば杉山さん達も一緒に移動する。
「萌衣なんか相手にするなって言ったじゃん。」
少し不機嫌な上地さんから怒られる。
「ご…めんなさい。」
私が上地さんに謝れば峯岸君が
「相原は悪くねえよ。岡村がすぐ相原に絡んで来るのが悪いんだ。岡村って構ってちゃんだからさ。」
と私を庇うから、ますます上地さんが不機嫌になる。
「とにかく土産買って、早く飯にしようぜ。腹が減った。」
この時間に元気なのは朝練に慣れてる茂君だけだ。
「あれ?向井は?」
「あそこでカニの値段を値切ってる。」
見れば市場に並ぶお店の前でエプロンをして長靴を履いたお兄さんを相手に向井さんが熱弁を奮ってる。
「高いっ!後1000円は下げてくれなきゃ他のお店で買う。」
「他の店もこれが限界だって…、オマケに昆布を付けるからさ。」
「ダメッ!安いってわかったら私の友達も皆んなこのお店で買ってくれるよ。」
「お姉ちゃんの値段で皆んなに買われたら、うちの店は大赤字になるだけだ…。」
「後1000円は譲らない。」
結局、向井さんの勢いに負けたお兄さんは向井さんの言い値でカニを売る。
「咲都も買う?」
値引きに競り勝ったご機嫌の向井さんに言われて嘆くお兄さんのお店でお土産と朝食のおかずを買う事にする。
「お姉ちゃんもカニ?何匹?」
お店のお兄さんに聞かれてアタフタする。