この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
籠の中の天使
第7章 知られたくない
お父さん達に一匹…。
北斗さん夫婦に一匹…。
持田病院に一匹…。
南斗は自分の分を買うとか言ってたけど、私も南斗と2人で食べる分を後一匹買うとしたら凄い値段になりそうだとか考える。
「4匹分が欲しいけど…。」
修学旅行のお小遣いは全く使ってない。
でも、カニだけでお小遣いが終わっちゃう気がする。
「咲都、4匹も買うの?」
「凄いーっ!そんなにカニが好きなの?」
杉山さんと上地さんが私の顔を覗き込む。
「修学旅行の…お小遣いをくれた人へのお土産だから…。」
皆んなが私の為にとお小遣いを出してくれた。
南斗からは大切に使えと言われている。
その皆んなへのお礼のお土産だから、いい物を買いたいとお兄さんにお願いする。
「わかった。なら、カニ4匹とは別にオマケをいっぱい付けてあげるよ。」
お兄さんがカニの他にホタテやイクラ、ウニを出して来る。
「私の時よりもサービスが良くない?」
向井さんがニヤニヤする。
「カニ一匹であれだけ値切っておいて勘弁してくれよ。」
お兄さんが呆れた顔をする。
それでもお兄さんは私達の朝ご飯用にとウニやイクラ、焼き魚もサービスしてくれる。
優しいお兄さんで良かったと皆んなが笑顔になる。
「これに住所を書いて…。」
お兄さんから宅急便の伝票を渡されて固まった。
伝票は4枚…。
「あの…、とりあえず1箇所に纏めて送って貰えますか?」
「自宅?構わないよ。」
そう言われて1枚の伝票に南斗の家の住所を書き込む。
「咲都ちゃんって、何処に住んでるの?」
達也君が伝票を覗いて来た瞬間
「キャーッ!!」
って思わず悲鳴が出ちゃった。
最悪だと思う。
市場のど真ん中で派手に悲鳴を上げれば誰もが何事かと私を見る。