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唇果実
第3章 ユウリ
真っ白な下着を汚さずに脱衣かごに放り込んだ日のことはユウリの強烈な体験だった。
脱いだ下着をもう一度拾い上げ、何度も何度も裏返してみた。
なんとなく裸のままその下着を手首に巻き付けてみて、
可愛いいシュシュみたいだと思った。
もう二度とみじめに下着を汚したくない。
誇らしい気持ちにおごることなく、ユウリは改めて戒めた。

「皮膚の感覚なんて、無視できる。私は脱皮したんだ。」

完治したわけではないような気がしていて、
その後もむやみに感情を高揚させたり、過剰な運動で体温が上がるのを避けた。
今となってはそれほど難儀もしない、慣れた姿勢でまわりの世界に接していれば、
引っ掻き傷のない滑らかな、柔らかい肌を維持できると思えば。

化繊や動物性ではない綿100%の衣類を経験的に選び身に着けるようにしたのも、
意識的に皮膚炎を回避する期待からのことだった。
とりわけ下着は重要だった。
そして血や膿が張り付いていない真っ白なパンツは、
彼女が人の手を借りずに希望を自ら掴んだ誇りだ。

真っ白なパンツ
滑らかな太もも
脚の付け根の太い筋の弾力をそのまま象徴するかのような肌

彼女にとって隠してしまうのはもったいない美観に感じるのだ。
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