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嘘の数だけ素顔のままで
第3章 去勢【2】

「あ、そうか、彼女さんがまだ若かったからかー」と『先生』は言った。
『先生』は、どこか一人納得したように声を出しながら指を折って数をかぞえ、彼女さんって当時三十一っすもんね、とコトブキの目を覗き込んだ。
コトブキは、そうです、と言うしかなかったし、ここまで聞き耳を立てていた『先生』に寒気を覚えた。それに小六の教え子を狙っていたことは訊くのさえ怖かった。
「でもわかるっすよ、熟女好きってほんとはそういうんじゃなくて、達磨みたいにむちむちしてるのが好きなんすよね、あえぎ方も処女みたいに恥じらってて、違います?」
『先生』は教室の窓ガラス越しに誰かを探すように目を細めたが、逆光になっていてコトブキには何も見えなかった。
そうですね、
コトブキが向き直っても『先生』はまだ窓ガラスを見ていて、西瓜のようなおっぱいした熟女とヤッてみたいっすよね、と何か独り言のように言った。
「あ、そうだ、コトブキさん、女の下着の色、何色好きっすか?」
おれですか、
コトブキは白とピンクとベージュの三色を頭に思い浮かべた。ベージュと言い掛けたそのときに昔のバイト先の先輩が黒を推していたような気がして思いとどまった。
「やっぱ黒っすよね」と『先生』は言った。
そうっすね……黒いいっすよね、
「やっぱそっすよねえ、白とか言ってきたらどうしようかと思いました」『先生』は声の調子をあげてそう言った。
コトブキは助かった、そう思うと同時にほとんど地に足がついていない今の自分が情けなかった。
煙草の火は、いつの間にかフィルターのところで燃え尽きていた。
『先生』は、どこか一人納得したように声を出しながら指を折って数をかぞえ、彼女さんって当時三十一っすもんね、とコトブキの目を覗き込んだ。
コトブキは、そうです、と言うしかなかったし、ここまで聞き耳を立てていた『先生』に寒気を覚えた。それに小六の教え子を狙っていたことは訊くのさえ怖かった。
「でもわかるっすよ、熟女好きってほんとはそういうんじゃなくて、達磨みたいにむちむちしてるのが好きなんすよね、あえぎ方も処女みたいに恥じらってて、違います?」
『先生』は教室の窓ガラス越しに誰かを探すように目を細めたが、逆光になっていてコトブキには何も見えなかった。
そうですね、
コトブキが向き直っても『先生』はまだ窓ガラスを見ていて、西瓜のようなおっぱいした熟女とヤッてみたいっすよね、と何か独り言のように言った。
「あ、そうだ、コトブキさん、女の下着の色、何色好きっすか?」
おれですか、
コトブキは白とピンクとベージュの三色を頭に思い浮かべた。ベージュと言い掛けたそのときに昔のバイト先の先輩が黒を推していたような気がして思いとどまった。
「やっぱ黒っすよね」と『先生』は言った。
そうっすね……黒いいっすよね、
「やっぱそっすよねえ、白とか言ってきたらどうしようかと思いました」『先生』は声の調子をあげてそう言った。
コトブキは助かった、そう思うと同時にほとんど地に足がついていない今の自分が情けなかった。
煙草の火は、いつの間にかフィルターのところで燃え尽きていた。

