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嘘の数だけ素顔のままで
第8章 痴漢【3】
 ばか女……と書いてあった気がしてコトブキは一瞬自分の目を疑った。二度見したが確かにそう書いてあった。カードには本物の社員証のように顔写真が載っていた。コトブキはカードの写真と女の顔を交互に見較べた。同一人物だ。


 昨夜、ばか女という人物からメッセージを貰った気がする。プロフィールページにアクセスして件名と本文を読んだ気がする。

 プロフィールページにアクセスしたということはプロフ写真だって見たはずだ。だが、年齢とか職業とか、どういうメッセージを貰っただとか、件名や本文に何が書かれてあったとか、プロフ写真の女の顔もまるで思い出すことができなかった。


 断片的に覚えていることもある。まりもという女だったり、相曾という女だったり、ノーパンパンスト女という女だったり、ユキという女の名前には確か顔文字が使われていた気がする。

 正面に坐っている女がまりもなのだろうか。でも容姿的に相曾という名前の方がしっくりきた。そう考えると隣の女も相曾のような気がしたし、そのまた隣の女も相曾のような気がした。寝不足の頭はひどく神経質になっていて考えを巡らした傍から蒸発するように記憶が消えていった。


 コトブキは自分に寄り掛かっている女を一瞥した。外行きという感じで肩にかかった髪が巻かれてある。この日の為にお洒落してきたのだろうか。赤い口紅ときつめの香水と巻いた髪は女のせいいっぱいという感じがした。

 健気そうなこの女をばか女などと心の中でそう呼ぶことさえ躊躇われた。


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