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嘘の数だけ素顔のままで
第8章 痴漢【3】
 ばか女を羽交い絞めする格好でブラウスのうえから胸を触った。ブラウスを胸に張りつかせると乳首の先が浮かび上がった。マゾ乳首だと自分から言ってくるくらいなのだから発達していて大ぶりだった。


 コトブキは、ばか女の頭の影に隠れて嗤った。ブラウスの袖を摑んだ。そして捲り上げて元に戻す、捲り上げてまた元に戻す行為を繰り返した。こうするとブラウスの袖に乳首の先が引っ掛かり、舌筆に尽くし難い感触を味わえた。

 最後に胸のうえでブラウスの裾をたゆませた。


 ばか女の頭の影から胸を見下ろした。少女のように色白な肌にあって乳首だけがかぐろくてばか女の静謐な顔に似つかわしくない貫禄があった。何人の男の唾が染み込めばこんな色になるのだろうか、そう思った。同時にコトブキは強い嫉妬を覚えた。

 この女の思い出を破壊してやりたいと思った。その為にはおれのことを忘れられないように傷をつけてやる必要があると思った。乳頭を抓んだ。永久に跡が消えないくらい爪を立てて力を込めた。


 生意気にもばか女は喜んでいた。眉間を狭めて悶絶こそしているが赤い口紅には色を浮かべていた。悲鳴のひとつもあげて泣くだろうと思っていた当てが外れてコトブキは苛立った。


 喜んでんじゃねーよ、ばーか、

 陰湿を楽しむ為に無言を貫くつもりだったから喋らされたことにまた腹が立った。


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