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嘘の数だけ素顔のままで
第9章 孤立【1】
 二時間目が始まった。メールに書いた通り実際コトブキはうわの空だった。簿記3級の資格を取ることはほとんど諦めていた。授業を聞いているふりをして教室の女を眺めていた。

 この女たちも旦那の前では淫らになるのだろうか。コトブキに、遅刻だよ、と言ってそっぽを向いたあの女だって、もしかしたら旦那の良いように毎晩調教されているのかもしれない。気分の乗らない日は犯されるように抱かれているのだろうか。

 秘密クラブを体験したことで服の上からでも女の裸が見える気がした。コトブキは指の匂いを嗅いだ。ズキズキと服の下でアソコが起きだしてきた。


 コトブキは教室を支配することを妄想した。女全員を裸にして横一列に並ばせたい、と。その為には、まずリーダー格のよく声のとおるあの女を最初に襲う必要があるだろう。そうすれば、仲の良い取り巻きが止めに入ってくるはずだ。

 女三四人くらいなら力で相手できる。必要ならぶってやってもいい。揉み合っているうちに女の着ているスーツなど簡単に破けるだろう。


 よく声のとおるあの女はああ見えてきっと泣くだろうな、そう思った。それに変わった変態趣味もなさそうだ。胸の大きさが左右違うことやロンパリ気味に垂れていることを馬鹿にしてやれば、もっと無様に泣くかもしれない。

 そうやって自分たちのリーダーが犯されれば、他の奴らは抵抗する気力を失うだろう。


 そうだ、服は女の手で脱いで貰おう、コトブキはそう考えた。

 最初はリーダーの取り巻き三、四人から裸になって貰う。それから裸のまま気をつけの姿勢をとらせよう。それを見た他の女は従うに違いない。自分から納得して脱ぐのだから羞恥心を感じずにはいられないだろうな。

 あとは悠然と椅子に腰をかけていればいい。オーディションと称したドMの選別をやってやろう、そう思うのだった。


 オオハナタカコのことはどうするんだ、ふいにあの一件が甦ってきてコトブキは彼女の方を見た。オオハナタカコが隣の女とひそひそ喋っているのを見つけてコトブキは気が気ではなくなってしまった。

 どういう訳かコトブキの妄想の中で教室の女全員を裸にさせたつもりが、オオハナタカコとヒタチノゾミの姿だけは抜け落ちていた。コトブキは急に冷めて現実に戻った。


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